事業内容

第11期推進員活躍中! 京丹後54マルシェで、たくさんの人を巻き込む

「脱炭素カレー作り」や「防災イベントに太陽熱温水器を展示して再エネ啓発」など、ユニークな活動をされている京丹後の推進員さんたち。
今回は、6/25(日)に実施された地産地消マルシェを取材し、「京丹後54マルシェ(ゴーヨンマルシェ)」の実行委員会に参加している推進員、味田佳子さん・川内弘睦さんにお話をうかがいました。

 

 

●● テーマカラーはブルー。地元の人々で賑わうマルシェ

京丹後・峰山の地元のホテル(KISSUIEN Stay & Food)の会場には、ブルーのノボリがずらりと並び、多くの人でにぎわっています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

10台のキッチンカーと、いくつものブース出店があり、ピザや国産牛のバーガー、レモネード、サンドイッチや焼き鳥、クレープなど、おいしそうな食べ物がたくさん並んでいます。さらに、素敵な雑貨やアクセサリー、子どもが楽しめる輪投げや射的、スーパーボールすくいやヨーヨーなどもあり、親子連れを中心にたくさんの人でにぎわっています。人々の中には、京丹後市長や議員さんの姿も。参加者同士が、そして参加者と出店者が知り合いに声をかけあう地元の楽しいイベントです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

射的コーナー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キッチンカーがずらりと並んでいます

 

54マルシェのテーマカラーはブルー。実行委員会からブース出展者の方には「もしできたら、何か1つ、ブルーを取り入れてください」と声掛けをされているそうです。
よく見ると、54マルシェ限定のブループリンがあったり、ブルーたいやきが販売されています。
実行委員メンバーのTシャツもブルーですが、ブース出展者の方の中には自主的に手持ちの青いTシャツを着用されている方も。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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左:ブループリン
右:ブルーたいやき

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

実行委員のTシャツ

 

 

 

●● ゆるくエコを呼びかけ

実行委員会からブース出展者には、もう一つ声かけをされてるそうです。
それは、「できたら、地元京丹後の野菜など、地域や国産の食材を使ってください」というものです。

地産地消で環境配慮のものを、ゆるく呼びかけされている理由を、実行委員会に入っている推進員・川内さんにお聞きしました。

 

 

 

 

 

 

 

推進員・川内さん(電気工事士。イベントでは電気使用の面をサポートしています)

 

「特別なこだわりがなくても、気軽に普通に参加できるイベントにしたいんです。
もし、例えばオーガニックしかダメというマルシェにした場合、出展者も参加者も特定の方だけになってしまうことがあります。このイベントではたくさんの人を巻き込みたいので、ゆるくしているんです。
たくさんの色んな人に環境のことを広めていくには、こういうイベントが大事じゃないかなと思っています」

地元の居酒屋さんが出展したブースでは、ジビエ=丹後イノシシ肉を炭火焼で提供されていました。54マルシェ限定のブループリンは、地元の牛乳で作られています。
会場に隣接するサウナ(地元のお医者さんが経営)もブース出展として、ぬか風呂(発酵風呂)の足湯体験を提供されていました。京丹後市の米ぬかを使って、酵素の発酵で熱を得るので、別途の加熱はしていないそうです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

地元の居酒屋さんのブース

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イノシシ肉の炭火焼

 

 

 

 

 

 

 

 

 

京丹後の米ぬかの酵素風呂・足湯体験

 

 

 

●● ローカルエネルギープロジェクト

会場では、使用済み食用油の回収がされていました。ペットボトルなどに入れた廃食油が続々と集まり、あっという間に1つめのカゴがいっぱいになりました。
油を持ってきた方にはちょっとしたプレゼントをお渡しされています。
回収ブースをしているのは、地元の環境NPOエコネット丹後で活動をされている推進員・味田さんと、地元の企業・大西衛生株式会社の谷さんです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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左:回収スポット
右:続々と集まる廃食油

 

ブースの前には、地球温暖化問題の説明と、使用済み食用油回収の理由を説明するパネルがあり、「ローカルエネルギープロジェクト」の文字が。

実は、京丹後では19年前から天ぷら油等の廃食油の回収を続けて来られましたが、集めた油は別の地域で活用してもらっていたとのこと。
今年の7月から、大西衛生株式会社さんにバイオディーゼル燃料の製造プラントができることになったそうです。

大西衛生株式会社の谷さんにも、お話をお聞きしました。


 

 

 

 

 

 

 

大西衛生株式会社・谷さん

 

「京丹後市は、SDGs未来都市にも認定されて、さらに、脱炭素型社会に向けたゼロカーボンシティ宣言もしています。弊社でも何か取り組みができないかと考えていたときに、バイオディーゼル燃料のことを知り、地産地消・循環社会に貢献していきたいと実施することになりました」

昨年の春に知り、岐阜に見学へ行き、工場の許可をとり、京都府の指導のもと水質汚濁への対策などをクリアして工場を建てられて、この7月に竣工式を迎えられます。

「京丹後で集めた廃食油から、高純度バイオディーゼル燃料を製造します。処理をする途中でグリセリンができますが、こちらも洗剤にして、全部使えるようにします。
地元の資源を地元でエネルギーとして使う。今まではなかったけれども、エコネット丹後さんと協力することで、一緒に実現することができました」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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左:廃食油(左のビン)と精製されたバイオディーゼル(右のビン)
右:グリセリンから作られる洗剤

 

大西衛生株式会社では、この他に下水道処理施設維持管理、浄化槽維持管理等の業務も行っています。
油をそのまま下水に流すと固まってしまうため、油の回収の取組を広めることは、会社としてもメリットがあるそうです。

 

 

●● 回収した廃食油=資源を地域で使う

京丹後市の6つの庁舎にある市民局でも回収をしていて、今回のマルシェのようなイベントでも回収を呼びかけておられます。
「使用済みのてんぷら油の処分は持って行くだけ、という風にしたいですね。市民からだけでなく、居酒屋さんなど店舗にも協力してもらっています。店舗の場合はだいたい1か月に1度回収しています。マルシェの会場の吉翠苑さんも回収に協力してくださっています。一緒に、環境のことにもちょっと目を向けていただければ」と谷さん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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左:店舗で使用されている回収容器
右:協力店舗に掲示されているステッカー

 

廃食油は、1か月に5,000リットルほど集まるそうです。
工場では1日で400リットルの廃食油を処理して、280リットルの燃料が製造できるそうです。もう少し集めたい、とのことです。

SDGs未来都市に認定された京丹後市として、ぜひ市の公用車やバスなどに使用してもらえるよう積極的に働きかけを行っています。
また、子どもたちに環境について知ってもらうため、学校からの見学の受け入れなども計画されています。

 

 

●● 環境価値のあるエネルギーが選ばれる社会に

谷さんは、建設の方などにこの燃料を使ってもらえないか、ということも考えているそうです。軽油を使う重機などを、植物由来の油から作ったバイオディーゼル燃料(B100)に切り替えることで、CO2排出量を減らすことができます。

バイオディーゼル燃料は全国的にも注目されていて、廃食油の盗難事件もあるそうです。京丹後でも一度、中身を盗られたことがあるとか。
「廃食油から飛行機用のジェット燃料を作っているところもあります。廃食油を海外に売っている人もいるらしいです。でも、私たちは、地元の資源なので、できれば地元で地産地消のエネルギーとして使っていきたいと思っています」

課題もいくつかあるそうです。例えば、コストの面を見ると必ずしも安いとは言えません。
エコネット丹後の事務局長の味田さん(推進員)は、
「安いからバイオディーゼル燃料を使う、ということではなく、価値があるから使うというふうになればと思っています。価値を作っていくことが大切だと思っています」とおっしゃっていました。
京丹後で、ローカルエネルギープロジェクトが動き出しています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

推進員・味田佳子さん

 

 

 

●● たくさんの人を巻き込む

美味しく楽しいマルシェは、気軽に普通に食とエネルギーの地産地消に関われるイベントでした。多くの方に使用済み天ぷら油リサイクル活動について知っていただくことができたのではと思います。

「最初、このマルシェは地域活性化を目的とした別の団体がされていたんです」と味田さん。
その団体さんは、補助金がなくなったり拠点としていた場所から撤収しなくてはいけなくなったりされたそうです。そこで、エコネット丹後が実行委員会の事務局を引き受けることにしたそうです。
「事業を引き受けるために、エコネット丹後の定款変更も行いました。環境だけでなく地域活性化も目的としました。一部の人たちだけでなくたくさんの人を巻き込んで、無理なく持続可能な活動にしていくためには、地域づくりもとても大切だと考えています。目的がしっかりしていれば、手段としての活動内容はその時々の状況に合わせて変えていっても良いんじゃないかなと思っています」