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【特集】住宅の省エネ性能ラベル表示制度スタート

―注文住宅でいち早くラベル表示を開始したエコワークス株式会社様にインタビュー―

 

エコワークス株式会社 代表取締役社長 小山貴史様

 

 

2024年省エネ性能表示制度スタート

2024年4月から省エネ性能表示制度が始まり、新築の分譲住宅、賃貸住宅に省エネ性能ラベルの表示が義務付けられました(努力義務)。

多くの方は冷蔵庫やエアコンなどの家電に★印で省エネ性能が表示されているのを見たことがあると思います。同じような表示制度が住宅でも始まったのです。

具体的には、住宅のエネルギー消費性能や断熱性能、目安光熱費が一目でわかるように★印や数字で表示し、家を購入する時や賃貸住宅を選ぶときの判断材料のひとつとしてもらうための制度です。

(ラベルのイメージ)

ラベルの各項目で表示されている内容については、この記事の末尾に説明をしています。

 

 

省エネ性能ラベルで家選び

この省エネ性能ラベル表示制度により、これから住宅は省エネ性能で選ばれる時代になります。

現在のところ表示が義務付けされているのは、新築の分譲住宅・賃貸住宅だけですが、今後は注文住宅にもこの制度が波及していきます。

まだ義務ではない注文住宅で、いち早く省エネ性能ラベル表示を開始された住宅会社・エコワークス株式会社 代表取締役社長 小山貴史(おやまたかし)様に、「省エネ住宅」や「省エネ性能ラベル」について伺いました。

エコワークスさんは、2004年に創業され、自然素材、無垢材をふんだんに使った家づくり、省エネ性能に優れた家づくりで、本拠地である九州に留まらず全国から高く評価されている住宅会社です(本社は福岡市)。
そして小山さんは、「ZEHロードマップ検討委員会」委員(2015~2019)を始め、現在も三省合同(国交省/経産省/環境省)の脱炭素社会の施策に深く関わられ、家づくりを通じカーボンニュートラル実現にご尽力されていらっしゃいます。

 

 

エコワークスさんの「省エネ住宅における取組」

エコワークスさんは、ZEH・LCCM住宅を年間100棟ほど供給されています。

LCCM住宅はZEHの上位に位置付けられた住宅です。(エコワークスさんが建てられたLCCM住宅が5つ星認定全国第1号を取得されています)

 

  • ZEH(ゼッチ:ゼロエネルギーハウスの略語)とは、高断熱による省エネ、太陽光などの創エネ、省エネ機器の使用により年間の一次エネルギー消費量を実質的にゼロ以下にする住宅です。
  • LCCM(ライフ・サイクル・カーボン・マイナス)住宅とは、ライフサイクル(建築~居住中~廃棄)において出来るだけ省CO2に取り組み、ZEHの省エネ性能をより高め、ライフサイクルを通じてCO2の収支をマイナスにする住宅です。評価は★で表記され5つ星が最高評価になります。

 

しかしエコワークスさんのお客様はZEH・LCCM住宅を求めて来られるのではないということでした。お客様は、エコワークスさんの『木の家』『木のデザイン』に惹かれて来られるそうです。

エコワークスさんは、ZEHは当たり前の品質として、ZEH・LCCM住宅を前提に心地よく暮らせる住まいづくりに取り組まれていました。

 

 

「当たり前の品質」としての省エネ性能

ちなみにその当たり前の品質は、断熱等級は6以上(ZEHの条件は断熱等級5以上)、太陽光パネル容量の平均は8.3kwとの事です。ZEHの要件を満たすだけであれば太陽光パネル容量は5kw程度なので、かなり大きな容量が搭載されていることになります。

 

(LCCM住宅には、平均9.6kWもの太陽光が搭載)

 

 

大容量の太陽光パネルは、ZEH(冷暖房・給湯・換気・照明)と家電をまかない、更におひさまエコキュート(=昼間の太陽光発電でお湯を作る)の標準化+将来のEV時代を見据えた結果として提案されているそうです。

かなり高い品質を当たり前としているのはなぜか。その真意は、

2030年には新築住宅の省エネ性能基準としてZEH水準(断熱等級5以上)が義務化するが、

住宅は30年、50年、きちんとメンテをすれば100年持ち、子や孫世代に引き継がれていく。

そしてこれから気候変動はより深刻になっていく。

今建てた住宅がもっと高い次の省エネ性能基準の時代を迎えた時に、エネルギー性能で後悔しない家づくりを提案している。

というお話しでした。

エコワークスさんの当たり前には「未来を見据えた省エネ住宅」が捉えられています。

 

 

省エネ性能ラベルの役割

●注文住宅の場合

注文住宅の場合、契約後の実施設計が全て完了してから省エネ性能ラベルを作成します。そのため契約前に省エネ性能ラベルの説明をすることはなく、お住まいが確定してからラベルをお渡しして内容の説明をされているそうです。

エコワークスさんにとって省エネ性能ラベルは「ZEH以上の省エネ性能の住まいである」ことを証明するものになります。最高レベルが表示されているラベルはお客様にとって、「やはりエコワークスさんに頼んでよかった」という安心の材料になっているということでした。

そして、まだ注文住宅に省エネ性能表示義務はないのにラベル表示を実施していることを知り、ラベルを手にしたお客様から「エコワークスさんが未来を見つめてものづくりをしているということがわかった」「子ども達に引き継げる家づくりになっているとわかった」というお言葉を頂くそうです。

まさに今注文住宅で性能表示を行う意義は、それらのお言葉=評価をお客様から頂くことなのだと思いました。

 

●分譲住宅の場合

分譲住宅や賃貸住宅の場合は、省エネ性能ラベルが家を借りるとき、購入する時の目安になることに意味があるというお話しでした。その為には住まいを選ぶ消費者に、省エネ性能ラベルを認知させる啓発活動が重要であり、それが当センターの使命ではないかとお言葉を頂戴しました。

ヨーロッパでは10年以上前から、賃貸住宅の広告時に性能表示が義務化され、賃貸物件の広告に家賃と一緒に物件のエネルギー性能の表記があり家選びの判断基準になっているそうです。

京都府でも、家選びに断熱性能やエネルギー消費性能が判断基準に加われば、間違いなく温暖化防止に繋がります。省エネ性能ラベルが普及し多くの人の目に触れる機会が増えれば、住宅性能の重要性が一般常識になっていくことも間違いありません。

 

 

住宅性能が一般常識となるために

現時点では、住宅の断熱性能でエネルギー消費量やエネルギーコストに差があるということ、同じ高断熱と言われている住宅でも暖かさに違いがあることを認知していない方が大多数であると伺いました。省エネ性能ラベルは個々のエネルギー消費性能や断熱性能を認識してもらう為に作られました。ラベルよって性能を見える化することで、つくり手・すまい手の意識が高まり、より住宅の断熱性能等が高くなっていくことも期待されます。

本制度はラベル受領者がラベルの内容を正しく理解できるように、ラベルと同時に「建築物の省エネ性能の評価書」が発行されます。ラベルの解説や表記内容がより詳しく書かれています。

(評価書内の記載例)

 

住宅の性能が一般常識となり、家選びの基準となるために、省エネ性能ラベル表示制度が普及していくことが重要であることを再認識しました。

始まったばかりの「省エネ性能ラベル表示」ですが、注目して広めていき、京都の省エネ住宅を増やしていくことにつなげたいですね。

 

≪参考≫

断熱メリット

断熱のしっかりした=省エネ性能の高い住宅で暮らすことには、たくさんのメリットがあります。

省エネ住宅のメリットの例。くわしくはこちら

京都の住宅断熱キャンペーン2024「京都の家を断熱で暖かく健康に!」

 

省エネ性能ラベルの項目

■エネルギー消費性能

国が定める省エネ基準からどの程度消費エネルギーを削減できているかを星の数で表します。

  • 太陽光発電(再エネ設備など)がない場合は、削減率30%以上を上限に、星0から星4まで表示されます(5段階)。
  • 太陽光発電(再エネ設備など)がある場合は、削減率50%以上を上限に、星0から星6まで表示されます(7段階)。

 

■断熱性能

断熱性能は「建物からの熱の逃げやすさ=UA値」と「建物への日射熱の入りやすさ=ηAC」の2つの点から評価して、数字が書かれた家の形のマークで表します。

  • 地域区分(寒い地域か、暖かい地域かの区分)に応じてUA 値とηAC 値をそれぞれ等級で評価します。ラベルには、どちらかの低いほうの等級を表示します。(例: UA 値の等級が5でηAC 値の等級が4の場合、ラベルに表示する等級は4となる。)
  • 等級1から7までの7段階で表示されます。

 

■目安光熱費

住宅の省エネ性能に基づき、一定の設定条件の下で、想定される年間の光熱費の目安額を示すものです。

  • シミュレーションの設定条件は、全国一律の電気料金単価(ガス・水道共)。居住人数は実際の家族構成に関係なく30㎡当たり1人で最大4人家族。生活スケジュールは平日と休日で異なるものと設定し、休日は一定の外出時間があるという想定で算出されています。
  • あくまでも他物件と比較できるよう同条件で算出した光熱費です。実際の光熱費とは異なるのでご注意ください。

 

その他、「第三者評価BELS」「ZEH水準」「ネット・ゼロ・エネルギー」についての表示もあります。https://www.mlit.go.jp/shoene-jutaku/shoene-label/index.html