京都府地球温暖化防止活動推進員活躍中!「閉校利用プロジェクトでエコイベントを実施」寺田ひとみさん
地元のプロジェクトに参加
子どもさんが小さなころに亀岡市の畑野地区に引っ越しをしてきた寺田さん。環境問題について、最初から関心があったわけではなかったそうです。
「ご縁があって、環境啓発施設のゆめほたるで働くことになりました。ここは大阪と兵庫の広域ごみ処理場で、子どもたちが環境学習にやってきます。ここの環境情報センターには書籍もあり、そういった情報に触れたり勉強するなかで、環境問題や温暖化問題について、これは大変だ、どうにかしなければ!と思うようになりました」。
(寺田ひとみさん)
寺田さんが推進員になったのは2021年4月から。ちょうどコロナ禍の最中ということもあり、当初はなかなか活動ができませんでした。仕事の中で温暖化問題を伝えられないか、地元で何かできないか、と考えておられたそうです。
「そんな中、地元の小学校が統合されることになりました。3つの小学校と中学校が小中一貫校に。私の子どもたちが通っていた小学校も閉校になることが決まりました。その小学校で色々なことをして住民同士の接点の場所にする畑野小閉校利用プロジェクトが立ち上がり、参加することにしました」。
プロジェクトは2023年から始まり、自治会を中心に亀岡市や教育委員会とも関わりながら計画がすすみました。
今年(2024年)3月に畑野小学校は閉校となり、4月から小学生はバス通学になりました。
「畑野は里山です。兵庫と大阪と京都の接点で、いわゆる中山間地域。どこに行くにしても車が必要だし、人口減少も問題です。でも、閉校利用プロジェクトをきっかけに人口流入になれば。
プロジェクトでは若い移住者が中心になって、楽しく活動をしています」。
寺田さんは、プロジェクトに参加して移住者がいることを知ったそうです。
「農業をするため東京から来られた方など、4家族が移住してこられました。新しい移住者の皆さんは、明るく才能豊かで、とてもパワーがあります。30年ほど前に引っ越しをしてきた私たちは古い移住者。もともとの畑野の住人もあわせて、プロジェクトには30人以上が参加しています」。
参加者がかたよらないように畑野町のそれぞれの地域から、そして、自治会・体振(体育振興会)・消防団なども参加しています。
「エコフェスティバルinはたの」を実施
「閉校になってすぐの時期なので楽しいことをやろう!ということで、今年6月にイベントをすることになりました。相談する中で、6月は環境月間だからエコを取り入れてはという話をしたところ、良いですねと言っていただいて。それでセンターさんにも相談をさせてもらい、パネル展示や体験教材を借りることになりました。
実施をした6/30(日)はあいにく雨でグラウンドが使えず、会場は体育館のみでしたが、130人もの方に参加してもらいました。畑野町の人だけでなく、兵庫や大阪、京都市からも来ていただきました。アンケートも実施して40人ぐらいから回答をもらいました。
畑野町でおもしろいことをやっているね、と知ってもらえたのではと思います」。
当日は、エコ縁日の射的・わなげ、紙芝居、めだかすくい、モルック体験会、リユースマーケット、リサイクル回収と盛りだくさんだったそうです。
(エコフェスティバルinはたの チラシ)
「プロジェクトのメンバーに、推進員ってこれだけたくさんのものを借りることができてスゴイね!と言われました。イベント内容はてんこ盛りしすぎたぐらいです。でも、子どもが射的をとてもよろこんでやってくれたり、体育館の舞台に置いた脱炭素まちがいさがしパネルを中学生が座り込んでやってくれたり。参加してもらう仕掛けをつくってやってみることが大事だなと思いました」。
「リユースマーケットも喜んでもらえたし、大成功だと自負しています。準備期間は短めでしたが、メンバーのできることを活かし、それぞれの役割の意識も高く、楽しくできました。
新しい移住者である若いメンバーの方の熱意とパワーがすごくて、本当に頼もしい。調べものや資料をデータ化したりなど、事務的なこともサクサクしてくださるし、チラシもちゃっちゃと作ってくださいます。もともとの住人は高齢の方も多いですが、自治会を中心に協力してくださっています」。
旧畑野小学校のこれからの使い方について、例えば貸しオフィスのような使い方ができないだろうか、図書室を活用できないだろうか等、これまでも色々と議論を重ねてきて、現在、英会話やヨガ教室など、活用の輪が広がっています。
地域の防災との関わり
「旧畑野小学校は、地域の避難所にもなっているんです。10月には防災訓練があるのですが、それに合わせて防災体験イベントをしたいね、という話の中で、災害が起きた時に本当に行動できるかわからないので、一度体育館に泊まってみたいという意見が出ました。
そこで、2部制にして、1部は昼からいつもの防災訓練をします。2部は、夕方に震度7の地震が発生したと想定して、消防団が全区域を巡回します。それから電気のない状態で体育館で夜を過ごし、非常食を食べ、段ボールベッドで宿泊をしてみる。実際に体験することで分かる課題が見つかると思います」。
亀岡市や消防署にも協力してもらい、実施しました。
2018年の台風21号がやってきたときに、亀岡でも被害が発生。人的被害が出たこともあり、災害についてリアルに感じている住民の方が多いとか。
「電気が使えなくなり、1週間お風呂に入れませんでした。ランタンの明かりでをご飯を食べたりなど、電気がないと大変だと実感しました。なので、太陽光発電が付けられると良いなと思っています。防災と環境のことは背中合わせで、切り離せないですね」。
地元の魅力を再発見
寺田さんに活動のやりがいについてお聞きしました。
「新しい移住者の方が、きらきらした顔をされているんです。積極的な発言をしてくださって、ひっぱってくださって、とても楽しいです。私が移住したのは30年以上前で、不便だなあと色々な不満もありました。でも、移住者の方の言葉を聞いて、お顔を見て、今になってふるさと愛が芽生えたんです。この地域は子育てが終わってご夫婦だけのご家庭も多いです。うちの子どもたちも、時々帰ってきたら、ここは空気がきれいで、星がきれいだと言います。この地域ってまんざら捨てたもんじゃないなと思っています。あらためて地域の魅力を再発見しました」。
(大路次川に設置された横断幕)
若い方のエネルギーが頼もしいし、私ができる支援があったらしていきたい、そして畑野という地域も残っていってほしい、と寺田さん。
「学校というモニュメントというか人が集まれる場所があり、みんなで楽しんでつながっていくことができると思っています。畑野町は京都の西のはしっこ。二府一県にまたがっている場所で、多くのライダーやサイクリストが通る場所でもあります。そこの大路次(おおろじ)川に、写真を撮ってもらえるようなスポットを作ろうということで、8月に大きな横断幕をかけたところです。
実は5月にはこいのぼりを設置したところ、写真を撮る方もたくさんいたみたいです。
畑野町は前を向いていると感じています。停滞ではなく、ステージがひとつ上がって、ふるさとが面白い!」。
知り合いをつなぐ
ひっぱってもらっていて私はそのあとをついていっているだけなんです、とおっしゃる寺田さん。
でも、例えば今回のエコフェスティバルで子ども向けの紙芝居のコーナーを企画したときに、本の読み聞かせボランティアをしている方に声をかけて当日の担当をお願いしたそうです。
活動に関わる人・支える人が増えることで、さらに活動が盛り上がっていきます。人と人をつなげるのはとても大切な役割です。
「ご縁があって、この人知っている、あの人知っているとつなぐだけ。知っている人たちが活躍してくれるのが嬉しいです。
自治会のことを遠い存在と感じていた時期もありますが、プロジェクトのことで実際に入ってお話をしてみると今まで知らなかった多くの活動が見えてきました。いくつになってもいろいろと勉強することがあって、楽しいです」。
今後についてお聞きしました。
「閉校プロジェクトでは、暮らしや地域の行事や新しい企画そのすべてにおいて、環境に配慮した取り組みであることを目指していければと思っています。
亀岡市は『世界に誇れる環境先進都市・亀岡市を目指す』がスローガンです。私たち地域の活動が、スローガンに叶う取り組みで進んでいければと願っています」。
(職場での出前授業の様子)