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特集「自分たちが生きたい未来のために。若い世代が活躍中!」

インタビュー Fridays For Future Kyoto

2050年温室効果ガス排出量実質ゼロに向けて、若い世代も自分のこととして、気候変動問題と向き合い、取り組んでいます。今回、京都で高校生や大学生が中心となって活動する、Fridays For Future Kyoto(フライデーズ フォー フューチャー キョウト 以下FFFKyoto) 代表の寺島美羽さんと代表補佐の中野一登さんにお話しを伺いました。


■Fridays For Future

Fridays For Future(未来のための金曜日)は、スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさん(当時15歳)の活動をきっかけにはじまったムーブメント。世界各地で若者が気候変動対策を訴えて活動しています。日本でも各地域で共感する若者の間から広まり、京都では2019年にFFFKyotoが立ち上がりました。現在は高校3年生と大学1年生を中心に12名ほどが活動に参加しているそうです。

■活動に参加するようになったきっかけ

今回お話を伺った2人は共に大学1年生。どのようなきっかけで気候変動問題に興味を持ち、活動するようになったのでしょうか。

代表の寺島さんは、「以前から、自分が疑問や興味を持ったことに関して自分で調べ、自分の意見を表明し、アクションを起こすということを大切にしてきました。そんな中、高校の授業でグレタさんのスピーチを見て刺激を受けたことをきっかけにSNSでFFFKyotoの活動を知り、また母校にメンバーが話をしにきてくれたことで、活動に参加するようになりました」。と語ります。

中野さんは、「お陽さまの下で、無邪気に遊んでいる子供たちを見ながら、『このような景色は30年後もここに在り続けるのだろうか』と自問したら、不安と悲しみが心の底から襲ってきました。先の見えない未来を前に、立ちすくむしかないやるせなさに、涙を堪えるだけで精一杯になりました。例えば気温上昇のせいで、夏に子供が外で遊べなくなるとか、原発の話も正直そうです。僕らの何気ない生活が、違う地域に暮らす人々の犠牲の上に成り立っている事とか、この後に生きる子供達や弱い立場にいる人達の、生活や命を蝕んでしまうという不条理に対し、ものすごく憤りを感じた、というのが僕が運動するコアの部分かなと思います」。と語ります。

■多くの人に知ってもらうために

FFFKyotoではSNSを上手に使って情報発信をしています。

毎週金曜日に行っていたスタンディング(現在はコロナ感染拡大によりオンライン発信)

「多くの人に気候危機の現状や自分たちの活動を知ってもらうためにSNSでの情報発信に力を入れています。特に写真や画像を共有する「インスタグラム」では、1枚の画像にまとめ、文字を少なくして、イメージで伝えることを大切にしています。同世代の利用が多いので、新しく活動に参加したいという連絡もインスタグラムを通してくることが多いです。また『気候×LGBT』『気候×ビーガン』など他の社会問題とからめた情報も発信し、広く関心を持ってもらうために工夫しています」と寺島さん。

「フェイスブック」は上の世代の利用が多いので、大人の人を巻き込みたいときに利用し、文章を硬めにしたりと、利用するツールにあわせて内容を変えているそうです。短い文章を投稿する「ツイッター」には海外からのアクセスやコメントが多いとか。

■コロナ禍の中でもできることを

もともとはグローバル気候マーチや、プラカードを掲げるスタンディングで気候危機を知ってもらう活動を行っており、一般の方も広く参加してくれていました。それが新型コロナウイルスの影響で大勢で集まることができなくなりました。
そのため、マーチ等を行う予定だった昨年9月25日の「世界気候アクション」の日に、人が集まらなくても気候危機への想いを共有できるようにと「みんなでフォトアクション0925」を企画し、「50年後の若者たちに見て欲しい景色」や「私たちにできる環境にやさしいこと」などをテーマに写真を募りました。集まった写真は短い動画にまとめてSNSで発信して多くの人に見てもらえたそうです。

■若者だからこそ描ける革新的な未来像を

行政に対しての働きかけも大きな活動のひとつです。市や府に対して意見書の提出や、審議会の傍聴も行っています。昨年2月の京都市長選挙では、候補者に気候変動対策についてのインタビューも行いました。

11月には、京都市長と市民との交流の場である「おむすびミーティング」で、自分たちが実現したい社会像を伝え、それを実現するために進めるべき取組を話し合いました。市長と交流することが決まってから、京都市の計画の中にある「2050年の豊かな京都」の「豊かさ」とはどういうことかをメンバー間で話合い、そこで共有したのは「物が捨てられることなく地域の中で回り続ける、人の学びが社会で活かせる『人と物が活き続ける社会』。市長もその「豊かさ」について「同じことを考えている」と共感してくれて、とても嬉しかったそうです。

「でも後から振り返ると、社会に出ていない若者だからこそ描ける革新的な未来像を市長に伝えることができればよかったです」と中野さんは語ります。

■FFFKyotoとしての今後

「政府がいう目標は、産業を意識しながら現実的にみた道筋を考えた未来だと思います。私たちは現状の延長ではなく、自分たちが生きたい未来を描き、行動する。それと同時に、メンバーの間で自分たちの描く未来の姿を常に共有する習慣を作っていきたい」と寺島さん。

「今後はビジョンを語ることで賛同してくれた企業などとも関係を築き、一緒に未来をめざしていきたい。またビジョンを強く持ちながらも、一方で、今社会がどうなっているかという勉強を続けることも一つの軸としていきたい」と話してくれました。

■大人世代へのメッセージ

最後に、10代のおふたりから上の世代へ伝えたいことをお聞きしました。

FFFKyoto
中野さんと寺島さん

「今は個人の行動だけでなく、社会のあり方を抜本的に転換しなければならない時代。『何のために』気候変動対策をするのか、またそれを『どのように』実行していくのか、本気で考えて欲しいです。違う年代の間で、一緒に考え、行動していければいいなと思います」