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【特集】体験2:山本和仁さん(窓、浴槽、天井の断熱改修)

体験1:山見拓さん(自分たちで断熱リフォーム)
体験2:山本和仁さん(窓、浴槽、天井の断熱改修)
体験3:村山修一さん(断熱を重視して建替え)


■体験2■ 窓、浴槽、天井の断熱改修をした山本さん

 

  • まず、山本さんのご自宅について教えてください。

私は現役時代、大手設計事務所で働いており、主にビルの設計に関わっていました。自宅を建てて46年たちますが初めての住宅設計でした。
自宅は、二階建て木造(住居部分)と、三角形のコンクリート造り(来客用リビング部分)がつながっています。}
当時、設計をしたときのポイントは4つでした。

yamamotohouse

  • その頃はまだ温暖化問題の話は全然なかった時代ですが、屋根に太陽熱温水器を付けました。2階のお風呂で温水器のお湯を使い、その下の1階洗濯室で再利用できるようにしました。
  • 当時私は暑さに弱いので、夏に過ごし易くなるよう工夫しました。天井を高くすること。そして、三方向から風が入ってくるようにして、さらに、ジャロジー窓という100%風が入ってくる窓(横に桟が出た細長いガラスを、ブラインドのように開け閉めできる)を採用しました。
  • トップライト(天窓)から光をたくさん取り入れるようにしました。
  • 木造の屋根は陸屋根(平らな屋上屋根)で、学習用の500W風力発電機を設置しました。天体観測などもしたかったので、屋上にも出入りできるようにしました。

その後この4年間で、4回に分けてかなり思い切った改修をしてきました。その中で特に断熱のためにしたのが、「窓」「浴槽」「天井」の改修です。

 

  • コンクリート造り(来客用リビング)の「天井」「窓」改修について

【天井】
こちらは、暑さをしのぎやすくするために、2階まで吹き抜けの天井にして、光を取り入れるために大きなトップライト(天窓)を付けています。しかし、これが計算違いで夏は直射で非常に暑い!
トップライトを複層ガラスにしたいのですが、天井窓は割れると危ないので、網入りガラスのままで改修ができません。
そこで自作でポリ段(ポリカーボネート板)をガラス面にかけて断熱しています。また、夏の直射対策として、京北町の農家から余った障子をもらい、それを加工して自分で取り付けました。山本さん改修工事天井

 

【窓】
また、風がよく通るようにと、大きな掃き出し戸にしました。幅が1.4mの木製ガラス掃き出し戸が4枚、全て引き込めるようにしたので、開口は5.6m開き、実に良く風が通りました。ただし大きいガラス戸は引き出すにはとても重くて常に滑車のメンテナンスが要りました。また冬はガラス面が大きいのでとても寒かったです。
そこでアルミ枠複層ガラスの引き違い戸に改修しました。既存の戸枠に取り付けられるよう大工に工事をしてもらい、窓の開口部は当初5.6mが、今は3.6mになり、さらに引き違いなので半分の1.8mしか開きません。でも断熱ガラスと開口面積が減ったので、冬は暖かく過ごせています。
しかし天井ガラスの断熱性が良くないので、真夏と真冬は、あまり人を呼ばないようにしています。

 

山本さん改修窓

 

  • 二階建て木造の「窓」「天井」改修について

【窓】
キッチン周りの3か所を複層ガラスサッシの窓にしました。

  • キッチンの引き違い窓(110cm×86cm)は、手作りで「うち窓」を作っていたが、複層ガラスサッシに取り替えました。取り付け作業は1時間ぐらいで早く終わりビックリしました。
  • 食堂横のジャロジー窓は、気密性が悪いので上下スライド式複層ガラス窓に取り替えました。
  • キッチンの5mと1mのL字型のジャロジーの出窓も複層ガラス式引き違い窓に取り替えて部屋の断熱が良くなり従来の石油ストーブからエアコンだけで過ごせるようになりました。

取り替えたどのサッシも元の窓枠を残して取り付けしたので、窓の開口が一回り小さくなり窓枠が広くなっています(既存の窓枠を取り外すと外壁との取り合いが難しくなるためです)。

山本さん窓3 山本さん窓2

 

窓をもう一つ改修しています。玄関横に大きなはめ殺しのガラス窓(1m×1.8m厚5mm)があり、これを、スペーシアという日本板硝子社製の厚6.2mm真空ガラスに取り替えました。3mmの2枚のガラスの間に0.2mmの真空層があります。複層ガラスよりもかなり断熱性能が良くて、最近の冷蔵庫も真空断熱を採用していますね。

 

山本さん窓4

【天井内の断熱】

実は陸屋根は雨漏りが起こりやすく今まで2回ほど防水改修工事をしてきましたがメンテナンスが大変でした。そこで今回は、既存の陸屋根の上に、折版(せっぱん。薄い鋼板を折り曲げて耐力を高めた屋根)を被せて二重屋根にし屋根裏が増えました。工事期間は多少かかり足場代も結構しましたが、二重屋根のお蔭で2階の部屋の天井内の断熱が二重になり夏冬とも快適に過ごせるようになりました。また、太陽熱温水器も更新しました。

 

天井内の断熱

 

  • 浴槽の改修

家族の体調のこともあり、当初2階にあった浴槽を1階にしました。
今回採用の断熱浴槽は、とにかく暖かい。お湯は二日経っても冷めずに暖かくてびっくりするほどです。
浴槽の表面が「パール仕上げ」というキラキラしたものになっていて、水を入れるとエメラルドグリーン色になり、とても清潔できれいで気持ちいい。手すりが多いのもびっくりしました。浴槽内だけでなく、浴槽の縁の部分が引っ込んで持つことができ、頭側上部の手すりと、シャワーのスライドバーなど持つところが多くて風呂から出るのに楽で安全です。床のビニールシートも、滑らずに安全で汚れなくて良い設計仕様です。
木の昔の五右衛門風呂、その後のタイル貼り風呂、ユニットバスが出てきて、今は断熱浴槽と比較体験してきましたが、お風呂の進歩はすごいなあと思います。
今回していませんが、ユニット浴室本体で、床・壁・天井が断熱されたものも出ていますね。

浴室改修

給湯は、太陽熱温水器にエコジョーズを組み合わせています。太陽熱のお湯が熱すぎる時は自動的に水を混合してちょうど良い設定温度にしてくれるし、冬に設定温度に足りなければ、エコジョーズが自働的に温水器の湯を温めてくれて非常に便利で省エネです。

 

  • 山本さんが「やって一番良かった改修」は何ですか?

お風呂の改修です。足が不自由な妻にとって断熱風呂は大変喜んでもらえました。安全面に配慮が行き届いた浴槽は安心して入ってもらえます。

 

  • 最後に一言

日本の住宅事情は40年ぐらいで建て替えられていますが、アメリカだと70年ぐらい、イギリスだと130年ぐらいと言われています。昔の農家・民家は100年ぐらいもったのですが、住まい方や生活の変化などから、だんだん建て替え寿命が短くなっています。
私の場合、新築(建て替え)するかリフォームするかを迷いながら、できれば次世代に継げるように、今の住まいを残したいと思い、息子が「お父さん、この家を壊すのは勿体ない」と言ったので、予算面から考えて改修することにしました。
実は以前から改修コストの試算をしていて、ざっくりとした割合は、構造2:建築4:設備1ぐらいだと考えて、100年もたせようと思ったら構造以外は手を入れてないといけないと考えていました。
ZEH住宅の新築費は、30坪ほどで1500万~2000万ぐらいはかかりそうです。なので、構造の2以外の「建築4と設備1の分=7分の5」である1200万ぐらいをリフォームに使ってもいいかなと考えています。

そこで、この4年間4回に分けて思い切って840万程の費用をかけて改修しました。また今後もいくつかの改修項目があり、あと350万程かかりそうです。でも、リフォームすることで、新築よりも安く次世代にこの建物を残せれたらと思っています。

「衣食住」を考えると、「食」は毎日食費を使い続けて、最近では飽食と勿体ない生活を。「衣」はファッションの流行情報にのって衣類が多くて使い捨ての消費をしています。それぞれに40年間の消費量を考えると膨大な金額になります。一方で「住」にはどれぐらい費用をかけているでしょうか。
「住」の場合は、一気に支払いをするので高金額に思われますが、それほど多くはありません。
日本人は住まいにもう少し予算を使っても良いのではと思います。断熱対策を施して健康で豊かな住環境で過ごすのが大切に思います。


 

■新築住宅に関する参考情報

『住宅の断熱・気密まるわかりBOOK』

WEB版はこちらからご覧いただけます。

https://danmitsu.kcfca.or.jp/