事業内容

「地域交通は住民のために官民一体で」 橋北移送サービス運営協議会:橋田 勝さん

第10期地球温暖化防止活動推進員、府内で活躍中!

 

 第10期地球温暖化防止活動推進員の橋田勝(はしだまさる)さんは、宮津市で、
橋北移送サービス運営協議会会長、養老地域会議代表、京の田舎ぐらしナビゲーターなどの活動をされています。
今回は、路線バスに代わる地域交通※の担い手である、橋北移送サービス運営協議会の活動を詳しくお聞きしました。

※「地域交通」:公共交通を利用することが困難な地域において、
通勤・通学・通院・買物など市民の日常生活に必要不可欠な目的のために運行する、
既存の公共交通を補完する交通手段をいいます。

「地域交通は住民のために官民一体で」

■地域交通は利用者が困らないドア・ツー・ドアで

地域交通は、主に、定時定路線とドア・ツー・ドアの2つの方法があります。
ドア・ツー・ドアは、いわゆる家の玄関から、目的地の玄関まで、
そこからまた自宅の玄関まで連れて行ってあげる方法です。
高齢者の利用者が多い中で、それをすることによって、様々な生活の変化が出てきます。

もう一つは、定時定路線というのがあります。
定時定路線の利用者の方は、暑い夏だろうが、寒い冬だろうが、バス停に行って待たないといけません。
しかも、人が乗っていなくても車は走らせないといけないのです。
今、宮津市は3つ、官と民で協力しあって運営しているんですが、上宮津と由良は、定時定路線でやっています。
我々(養老)はドア・ツー・ドアなんです。
これから計画するのであれば、一部大変な部分もあるのですが、是非ドア・ツー・ドアでやって欲しいと思います。

 ■地域コミュニティーが生まれるきっかけに

なぜなら、利用者の方はご年配の方が多いですから、これまでホームセンターで野菜作りの肥料とか、
5キロ、10キロの重いものをとても持てませんから、買えなかったけど買えるようになった。
スーパーでの買い物でも、これまでだったら大きいトイレットペーパーとか買うと、
もう持てないから買うことができなかった。でも今、運転手さんが親切だから、
運ぶのを手伝ってあげるんですよ。家に到着したら、指定の場所まで運んであげるわけです。
それを利用者の方が本当に喜んでくれていて、運行料以外にお金を渡したい、ということになるんですね。
いただく費用っていうのは決まった金額だから、とお断りするのですが、
満足しているから利用者の方がそういう気持ちになるんです。
だから、そこに地域コミュニティーも生まれてきます。
それで今のところ事故もないから、ウィンウィンになっていますね。

どこの行政でも、定時定路線をという話を言ってくると思うんですけど、住民のため、
現場のことを考えて物事を動かさないといけないし、それは大事なことだと思います。
市の職員と話していく中で、なんとか定時定路線でやってもらいたいと何度も話がありました。
でも、そんなやり方だと長続きしないのです。
はじめから、利用者もドライバーも行政も、全て三方よしでないと上手くいかないと思っていたからです。

■インフラ整備で高齢者に楽しみを

日本全国、高齢化がとんでもなく進んでいます。
大げさに言うなら、ご年配の方がスーパーで満足いく買い物ができる、
ホームセンターで自分の趣味である家庭菜園の肥料が買える、ポット苗が買えるのであれば、
毎日が楽しみになって、免疫力が上がると思います。
何歳になっても、人ってそうなのではと思います。
だから、この世の中にデイサービスができたのです。
ドア・ツー・ドアによるインフラ整備をしてあげることによって、その方の生活の範囲が広がるわけです。
イコール、毎日が楽しくなってね。
もっと言うと、医者に行く回数が減ったり、老人医療保険を使わなくてよくなったりすると思います。
そこまで言うと、詭弁だって言われるかもしれないけど、私はそう思っています。

だから、こういった話が分かっていただけて、ドア・ツー・ドアでやろうと思う方がおられるならば、
我々が使っているこのソフト(ドア・ツー・ドアの複雑な人件費等の計算を自動でしてくれるソフト)
も使っていただけたらと思っています。

■今後も継続させるために

あと、ドライバーの年齢は60歳から75歳くらいまでなので、私の狙いとしては、
地域のスモールビジネスにもつながれば、今後もこの取組みが継続していくのではという思いでした。いわゆるドライバーの方の報酬ですね。
それもある程度出ないと、毎日のご飯代ぐらい出ないと、これは継続できないなというのがありました。
さらに、利用者の方は安い金額で使えないといけません。
この業務は、地域の要、生活インフラですから、始めたら途中でやめられないのです。
ボランティアじゃないし、携わっている人すべてに、ある程度の手当を出さないと後に継げないなというのがありました。

もうすぐ2年目が終わりますが、全体として上手くいっているのは、アナログとデジタルの両方に強い人間がいるからだと思います。
会計担当の方が、会計の仕事をしていて、ファイナンシャル・プランナーで、経営相談もするようなスペシャリストの方なんですね。
複雑なドア・ツー・ドアの計算ができるソフトまで作ってくれました。
そのデジタルの力と、あと行政と繋ぐための市会議員(庶務担当の方)の力。
そして私のアナログのネットワークが活きています。
デジタルの能力はないんだけど、今まで地域でやってきた仕事や、学童保育などの活動を通してできた繋がりがあって、一緒にやろうと話に乗ってきてくれる人が多いのです。

現在会員登録(年会費2000円)をしている利用者は、80名ぐらいいます。
年齢はほとんど高齢者です。利用したい時は、完全予約制で2日前まで予約することになっています。
タクシー業界の許可をとるために、タクシーと同じ当日に予約というのはできないのです。
基本的には2日前の午前9時から12時の間に、地区連絡所に女性スタッフが詰めていて予約の電話を受けます。
その名簿を見て、私がその日の2時頃までに、利用者に電話をかけて、日時の確認をするのです。
直接聞くことで、予約が伝わっていると安心してもらえますし、間違いがあっても修正できます。
この日時で大丈夫という確認をとってからドライバーに電話をして予定を組んでいきます。

どこまで移動できるかは、地域の交通会議で許可を取るのです。
交通会議ですから、私達と、タクシー会社とバス会社、京都府の方、宮津市の方、行政の方々も会議のメンバーです。
そこで、ここまでは行ってもいいよ、という許可をとっていくわけです。
利用者の方のために一番してあげたいことは、宮津市役所周辺の病院まで移動できるようにすることで、許可を取りたいと思います。

現在の運行内容

 

それと、実績ができて2年間問題なく終えることができたら、3年目からは、ドライバーの数と車の数を増やしてできるようになるのです。
ドライバーが6人増えて、6台車が増える予定ですが、利用者が多い月曜日と金曜日にも、申込みを断らなくてもいいようになると思います。

■住民のために一緒に協同を

それぞれ地域ごとに入ってみないと分らない部分もあるけれど、地域のためには民間だけで何かしようとするのは難しいと思います。
本当に今、持続可能性ってことを簡単に言われているけど、そのためには、特に地域インフラについては官民一体のものの考え方、またその行動。
これをもう一度、言い争うのではなく、意見を出しあってね。
どうしたら本当に地域がよくなるのかなっていう思いを持った組織を、しっかりやっていくべきだと思います。

15年前にやっていた学童保育や、今も継続している空き家バンク「田舎暮らしナビゲーター」もそうですが、官にお金を支えてもらわないといけない部分はあるけど、予算のことを含めてキャッチボールしながら、官民一体でやってきて段々分かってきたことです。
そうしないと、官だけでは無理、また民だけでも無理なんです。
特に地方の行政は官民一体。
これが、うまくかみあえば持続可能な地域づくりになりますね。
全国にある地域交通、枝線の路線バスがドア・ツー・ドアに見直されると、CO2削減になり地球温暖化防止が前進すると思います。


橋北移送サービス運営協議会の資料(PDF)

お問合せ先
橋北移送サービス運営協議会(きょうほくいそうさーびす)会長:橋田勝さん
090-3056-9878
Fax 0772-28-0550