事業内容

第11期推進員活躍中! 木工ブランドを立ち上げて、与謝野町で木材の地産地消を! 植田泰史さん

今回は、与謝野町で木材の地産地消に取り組んでいる推進員・植田泰史さんの活動をご紹介します。

木材の地産地消は、輸送エネルギーを減らす(=CO2を減らす)ことだけでなく、地元の事業者さんが携わることで地域経済の活性化にもつながります。木材の価値が上がり需要が増えることは、最終的に森林の手入れにもつながります。これからの脱炭素地域づくりにとって、大切な要素です。

左・植田泰史さん。右・植田友香理さん。ご夫婦で推進員です。

●●工務店として、京都の木を使って住宅を建てる

「本業は植田建築という工務店で、住宅の設計や施工をしています。他にも、木製品の製造販売や木工教室なども実施しています」。

若い頃は大阪で建築の現場監督の仕事をしたことがあるという植田さん。大阪での仕事を辞めて与謝野町に帰ってきたのは24~25歳頃。地元で大工職人として働き、技術を身につけながら、そのとき使っていた材料(木材)に違和感を覚えたそうです。

「与謝野には森があり木がたくさんあるのに、なぜベイマツ(外国の木材)を使うのだろう? 地元の木を使ったらいいのに、という疑問を感じていました」。

植田建築さんは、京都府産木材認証制度の緑の工務店に登録し、木材は京都府産材を使って建てることを第一の目標とされています。植田さんはヒノキが一番好きだそうです。
「ヒノキは匂いも良いですし、それだけでなく、仕上げたときのツルッとした触り心地も良いし、つやがでるところも魅力的です。『THE・日本の木』という感じがするのも良いですよね」。

また、「環境に負荷をかけず自然と共存していくことを大切にしていきたい」と、植田建築の中に『スタジオき』を立ち上げ、子どもたちを対象とした森の中での体験活動を実施したり、体にやさしい自然由来の商品の取次店をしたりと、様々な活動に取り組まれています。

「12/16(土)と17(日)は、スタジオきが主催でマルシェを開催しました。場所は、与謝野町の阿蘇シーサイドパーク横『あまのはしだてテラス』。地元の様々な団体にブースを出していただく楽しいイベントです。楽しく地元をもりあげていきたいですね」。

あいあむマルシェ

●●地元での活動

植田さんは地元でも様々な活動をされています。消防団の団長をしたこともあるとか。
先日、近くの府立支援学校から依頼があり、木工を週に15時間教えることになったそうです。

「もともと指導されていた方の都合が悪くなり、お声をかけて頂きました。なので、まだ数回しか行っていないのですが。支援学校では、木工や窯業(焼き物)などは販売されるので、ちゃんと良いものを作れるように教えられたらと思っています。もちろん、安全に作業できるようにしっかり気を配りながら」。
支援学校では、木工・窯業・服飾・農業の実習を通して自立支援を行い、販売された予算は次年度の実習教育にも充てられるとの事です。

現在、植田さんは『よさの作事組(さくじぐみ)』の会長もされています。よさの作事組とは、大工さん・工務店・土木・屋根・板金・左官など、建築に携わる様々な事業者さんの集まりです。もともとは与謝野町の事業者さんだけの集まりで、ちりめん街道の修景工事の推進を目的としていたそうです。

「よさの作事組が設立して10年以上経って、状況も変わってきました。そこで、今年の4月に規約を改正して、これまでの修景工事ではなく、木材のブランド化をはかり、木材の流通や利用を通じて職人の技術を継承していくという活動目的に変えました。また、与謝野町だけでなく、宮津や奈良や兵庫など、広い地域の事業者の集まりになりました。建築関係だけでなく、造園家さんにも参加していただいています。木材のブランド化というところが魅力なのかもしれません」。

植田さんは、与謝野町の地球温暖化対策地域協議会である「よさの百年の暮らし委員会(愛称:みらいふ)」の副会長をされていましたが、今年の3月でみらいふを卒業されたそうです。こんなに色んなことに取り組んでおられるのに、なぜ卒業されたのか、理由を聞いてみました。

「みらいふでは12年間、いろんな活動してきました。団体として新しい風も必要でしょう? 新たな人に参加してもらい、活動の中心を担ってもらうことで、環境の軸になる人も増える。そういう人が増えたら活動も広まって、環境に取り組むことが普通のことになってくるのではと思っています」。

●●木工ブランドを立ち上げ、地元の木材流通を作る

「京都府産の木を使って『これは京都の木だよ』と言うのも良いけど、もっと近くの地元の木を使えないだろうか。『これは与謝野の木だよ』もしくは『丹後の木だよ』と言えるといいなあと思ったんです。京都は南北に長いので、気候も違ってくる。京都の南のほうにも良い木があるけど、ガソリンを使って運んでくることを考えたら、やっぱり地元の木が使えたら一番良いじゃないですか。
近くで十分な需要が見込めて、地元の木を地元でそのまま使えたら、環境負荷もぐっと少なくなる。木が育ったところで使ってほしい。そういう思いはずっとありました」。

そんな植田さんの思いが動き出したのは、今年の春ごろから。少しでも地元で流通する形を作っていきたいと声掛けをしていたら、個人的につながりのある方から、ここに木があるよ、引き取れないか、という連絡が届くようになったそうです。

「与謝野町や、宮津など周辺地域から、ヒノキ、マツなどの針葉樹だけでなく、サクラやケヤキなどの広葉樹も含め、様々な樹種の木材がたくさん集まってきています。それで、うちの木材置き場がいっぱいになってしまって」。置き場所をどうしようかなあ、と笑う植田さんです。

いま植田さんが挑戦しているのは、木工ブランドの立ち上げをして、地元の木材流通を作っていくことです。

「木工ブランドを立ち上げるための『クラウドファンディング型ふるさと納税』にチャレンジしています。与謝野町に申請して採択をしていただきました。集まったお金の半分は与謝野町で活用されます。そして半分は与謝野町産木材を活用した木製品ブランドを高める事業として活用していきます」。

★森と人をつなげる循環のまちづくり!地元の山の木を使うことで、山と海と人が元気になる!!
https://www.furusato-tax.jp/gcf/2584

よさの作事組を中心に、地域産木材の新しい流通モデル構築を検討されています。地元木材をブランド化することで、与謝野町の木材資源の価値の高さを伝え、地産地消を進め、同時に木工職人さんの技術の継承にもつなげていきたいとのこと。

木工ブランド立ち上げ後、作っていきたい木工品についてお聞きしました。

「第1号となる木工品は、大工箱です。職人の技術と独自の手法で、釘を一つも使うことなく作ります。昔の大工道具を入れる箱ですが、日常でも使えます。ヒノキで作った箱なら米を入れてもヒノキチオールの成分で虫が付きません。調湿機能もあるので大切なものを入れておくのにもぴったりです。からくり箱のようになっていて、蓋は簡単に開かない(横けんどん、という仕組みになっている)というのも魅力の一つです」。
この大工箱は、ふるさと納税の返礼品として選ぶこともできるそうです。

与謝野産の木を使って、与謝野の職人さんが作る木工ブランド。
山も海も人も元気になり、職人技術が未来へ継承されていくプロジェクトが与謝野で動き出しています。