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【特集】遮熱ツール大特集!「遮熱」で乗り切る「暑さ」

気候変動適応法が改正されました。「熱中症警戒アラート」が法律に位置づけされ、「熱中症特別警戒情報」が新設されました。併せて、「指定暑熱避難施設(クーリングシェルター)」を市町村長が指定できるようになるなど、国も温暖化の影響に対する具体的な対応を始めています。

今年の夏も酷暑が予想されています。熱中症予防のためにも、適切な温度設定でエアコンを使用することが重要です。
ただ、エアコン使用による冷房の電気代が気になるところです。無理せず、かしこく省エネすることは大切です。そのためにも、そろそろご自宅でも設備導入も含めた「おうちの適応策」を始めてはいかがでしょうか。

これまでも「窓の断熱リフォーム」をお勧めしてきましたが、住宅の冬の断熱に加えて、夏の遮熱も不可欠な対策として必要になってきました。
住宅の西面や南面の窓に日射遮蔽対策を施すと、室内温度の上昇を抑制し、夏の冷房効率を高めることで節電につながります。
そこで、具体的にどのような方法で遮熱対策をおこなえば良いか、「窓の外側遮熱・日差し対策」をご紹介します。

この記事の内容は以下のとおりです。
1.はじめに
2.住宅設備メーカー製「サンシェード」の効果
3.住宅設備メーカー製「後付けひさし」
4.ホームセンターで手軽に調達
5.おわりに

1.はじめに

夏の省エネポイントは「窓の外」

夏、窓から室内に流入する熱の割合はおよそ70%と言われます。部屋を暑くする要因は「窓」から入り込む「日射熱」です。この熱の流入を防ぐために、窓の「外」で日差しを遮ることが室内の温度を抑え、冷房効率を良くするポイントになります。

(出典:YKKAP 洋風すだれアウターシェードカタログ)

窓の外側遮熱対策・日差し対策として、すだれやよしずが日本では使われてきました。すだれとよしずの特徴は日差しを遮りながら風を通す効果があり、和風建築との組み合わせは、見た目にも涼しく感じられます。ただし、オフシーズンや台風、ゲリラ豪雨などの時に収納する手間がかかってしまいます。

これとともに、「洋風すだれ」の人気も高まってきています。「洋風すだれ」は「サンシェード」とも言われます。取り付けには工事が必要で、ロール式で収納されるタイプが多く、軒付けだけではなく、ベランダやひさしに取り付けることも可能で、取扱いが比較的容易な点が人気です。このサンシェードについて住宅設備メーカー製を事例に窓の外側遮熱効果を見ていきます。

2. 住宅設備メーカー製「サンシェード」の効果

図-1(出典:YKKAP 洋風すだれアウターシェードカタログ)

図-1のように、サーモグラフィで見ると、サンシェードなしの場合とありの場合で、熱照射が大きく異なり、室内の温度差は大きいことがわかります。

※図の窓は複層アルミサッシ。
※サーモグラフィの赤色は高温、青は低温。

●「窓」断熱と、「窓」外遮熱で、夏も冬も節電効果UP!

例えば図-2のように、単板ガラスのアルミサッシと比べて、内窓(Low-E複層ガラス)を設置すると、日射熱は40%、さらにサンシェードで窓の外側の遮熱対策をおこなうことで、日射熱は6%になります。

冬の寒さ対策で「内窓」を設置し、夏の暑さ対策で「窓」外遮熱をおこなえば、単板ガラスのアルミサッシだけに比べて効果の高い遮熱対策になり、冬の「内窓」効果で、一年を通じての節電対策としても有効な設備の導入となります。

図-2(出典:YKKAP 内窓プラマードUカタログ)

●サンシェードの気になる点

サンシェードは「生地」になりますので、窓の外に設置した場合、外からの視線が気になり、室内からの眺望が遮られるのではと、気になる方もいらっしゃるかもしれません。

外から見ると
内側からの眺め

「生地」の編み方によって、外からは見えにくく、内からの眺望は遮らない仕様となっています。ただし、夜間は、お部屋の照明をつけると、サンシェードをしていても、外からの視線を遮ることはできません。

3.住宅設備メーカー「後付けひさし」

注目されている住宅設備が「ひさし」です。皆さんの窓に「ひさし」はついていますか?

「ひさし」は日差しを遮り、室内温度の上昇を抑制します。また、冬場は、太陽高度が低くても、室内に日差しを取り込むことができます。

最近の「ひさし」は後付けできるタイプのものもあり、比較的容易に設置することが可能です。この「ひさし」ですが、取付けるには注意点があります。「ひさし」は一般的に東南~南~南西に取付けられ、「ひさし」の出幅は窓の大きさにより適正な幅があり、適切な省エネ効果を得られます。「ひさし」幅が広すぎると、夏の日射遮蔽効果は高いかもしれませんが、冬場は、日射熱を効率よく採り込むことができず、室内温度を上昇させる効果が減ってしまいます。導入の際には施工業者とよく相談して設置していただくことをお勧めします。なお、取り付けには工事が必要ですが、大きさや取り付ける場所に因りますが、概ね1日で設置が可能となっています。

また、これらの「ひさし」には、フックを取付けられるタイプもあり、「グリーンカーテン」や「すだれ」も付けることが可能になり、様々な方法で遮熱対策をおこなうことが可能です。

後付けできる「ひさし」

4.ホームセンターで手軽に調達

まずはお試しと言うことで、ホームセンター等で購入できるすだれやサンシェードであればDIYで取付もできますし、費用も抑えられます。

一口にすだれと言っても、
・すだれ(天津すだれ、竹すだれ)。素材は、葦(よし)、竹、プラなどがあります。
・洋風すだれ=いわゆるサンシェード。遮熱効果の高いもの、防虫効果のあるもの、風通しが良いもの、光が入るが日よけもできるもの等、様々なタイプが販売されています。

「天津すだれ(葦)」が特に安く、その他のお値段は大きさによって異なります。天津すだれで小さいものは300円前後から。
機能付きサンシェードは2000円前後から。大きなサイズのものは4500~5000円になります。「よしず」や「すだれ」は、ホームセンター等で比較的安価に購入できます。

窓に取り付けるすだれハンガーや吊り具も販売も販売されています。磁石のフック、接着剤で固定するもの、粘着テープのもの、ネジ式のもの、サッシ枠に取り付けるもの等々、様々な材料が販売されています。

すだれ用フック
ねじ式金具フック
アルミの桟に取り付けやすい「接着剤式のフック」
京都府地球温暖化防止活動推進センターの事務所の南側の窓にも付けています。
「ひさし」の上部に磁石で留めています

窓に「ひさし」があるので、磁石フックで固定し、両端はロープで縛っています。

デメリットは、台風やゲリラ豪雨が予想される場合は、片づけなければなりません。その他、風が強い日は取り外します。

同様に西側の窓にも設置しています。西側は上部をフックで吊り下げて、シェードの下部をコンクリートブロックに結びつけています。

DIYで取り付ける場合は、高所の安全を確保し、くれぐれも無理をしないように作業してください。

●緑のカーテンもおすすめです。

定番のゴーヤだけでなく、フウセンカズラや、アサガオも育てると花がアクセントになってきれいですね。水やりをすることで、蒸散作用もあり、効果が高まります。緑のカーテンコンテストをおこなう市町村もあり、日差し除けとしてお馴染みの対策となっています。

5.おわりに

●遮熱は+α

夏の遮熱対策は、冬の断熱対策に加えていくことで、取組が可能です。窓の断熱対策(Low-Eサッシへの交換や内窓の設置)が済んでいる場合は、窓の外遮熱対策で、省エネ効果は更に大きくなります。

今回ご紹介した住宅設備メーカー製の「サンシェード」は、機能性も高く、取扱いも容易ですが、設置工事が必要で、費用負担も多くなります。費用負担を抑えるなら、DIYですだれやよしず、サンシェードを設置することをおすすめします。緑のカーテンは、ご承知のように、育てる楽しみや、ゴーヤであれば収穫の期待がありますが、毎年植え付けが必要になりますね。

いずれも、夏の遮熱対策としては有効になりますので、みなさんの取組易い「遮熱対策」で、省エネ・節電に取り組まれてはいかがでしょうか。

(取材/資料協力:YKKAP株式会社 住宅関西支社)